傍にいたいと願うこと。

       それはわがままですか―――…?

 

 

 

 

 

 

 

           THUNDERBIRD 01

 

 

 

 

       


       「ミゲルっ!クルーゼ隊に選ばれたって…」

       「うん。そう」

 

           駆け寄って、3つ年上の恋人を見上げれば、本当に嬉しそうに笑うから。

 

       「…僕は…おめでとうって言ってあげるべきなんだよね…」

 

           ミゲルが一生懸命努力していたのを知っているから。

           言ってあげなくちゃ、と思うのに。

       でもクルーゼ隊は常に最前線で戦争をしてる。それを思うとなおさら言えなくて。

 

       「…無理に言ってくれなくてもいいよ。キラが戦争を嫌がってるのを知っているし、

        俺は戦争をしに行くわけだから」

 

       だから言ってくれなくてもいい。

 

       そう言って頭を撫でてくれるミゲルは優しく笑っていて。

       僕は泣きたいわけじゃないのに涙が溢れてきて。

 

       「…ああもう、仕方のない…」

 

           一つため息をついて、ぎゅうって抱きしめてくれる。

           僕が泣くといつもこう。

           力いっぱい、でも僕が痛くないように抱きしめて頭を撫でてくれる。

           子ども扱いされてるのかもしれない。

           でも実際、僕はミゲルよりも3つも年下で。

           ミゲルに撫でてもらうのは嫌いじゃないから子ども扱いだと思っても

           嫌だとは言えなくて。

 

          「…行っちゃやだよ…」

 

           結局出てしまった本音。

       出すつもりは全くなくて。

           言ってしまえばミゲルを困らせてしまうことが解っていたのに。

 

       「やっと言った」

 

       上から聞こえたミゲルの言葉に僕は慌てて顔を上げる。

       そこには笑顔のミゲルが僕を見つめていて。

       僕は頬が赤くなるのを感じて下を向こうとするのをミゲルに止められて

       上を向かされたと思ったら、唇に感触。

           すぐに離れたけれど、たぶん、間違いなくミゲルの唇で…

 

       「みっ…みげ…ミゲル…っ い、今…っ!?」

       「今?キスだけど」

 

       頬やおでこなんかはよくキスをしてくれたけれど、唇は初めてで、僕は

       みっともなくも動揺してしまった。

 

       「好きだ、キラ。」

 

           動揺している僕が楽しいらしく、ミゲルはクスクス笑っている。

       笑いながら、おでこや頬にキスをしながら、好きって囁いてくれる。

       僕は嬉しいのか悲しいのか解らなくて、抱きつくことしかできなかった。

 

       「キラごとプラントを護りたい。…俺が、俺の手で」

       「……毎日、通信してくれる…?」

       「もちろん」

       「…浮気、しない?」

       「キラに誓って」

       「…………っ ちゃんと…帰ってくる…よね…?」

       「帰ってくるよ。キラがいるから」

       「……いって、らっしゃい…」

           「いってきます」

 

       無理やり微笑んで、ミゲルに伝える。そうしたらミゲルは敬礼をして、答えてくれた。

       その姿が格好よくて、なんだかまた泣いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       「明後日付けでクルーゼ隊に配属となります、アスラン・ザラです。」
       「同じく、ニコル・アマルフィです。」

 

       アスラン、ニコルと自己紹介して、僕の番。深呼吸をして、呼吸を調える。

       あの日のミゲルみたいに、ぴしっと敬礼をして。

       「同じく、キラ・ヤマトです。」


       この後、僕はミゲルに思い切り怒られた。
       僕のことを心配して戦争から遠ざけてくれたのは解っていたけれど。
       でも、それでも僕はミゲルと一緒にいたいんだ。遠くよりも近くに。

       ただ待ってるのなんてイヤだから。

       ミゲルが僕ごとプラントを護りたいって思ってくれているのと同じくらい

       僕もミゲルごと護りたいから……



 

 

           だからこのわがままを許してください――

 

 

 

 

 

 

           

 

           ミゲキラー、ミゲキラー、ミゲキラー

                何だか突然はまってしまったミゲルキラ。

                そういうわけで連載です。今回はシリアス風味ですが、
                次あたりからは
ほのぼので。微エロもあったりなかったり?

                 引かないでついて来て下さいね〜〜

 

                     前半のキラは14歳。ミゲルは17歳です。

                         出会い編とか見たいですか?